円環的時間と言語

円環的時間論の話の続き。

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映画「メッセージ」を見た。まさに円環的時間観に基づいた映画。以下、ちょいネタバレ。

宇宙人がやってきて、彼らの言語を地球の言語学者が理解していくと、なぜかその言語学者が未来を見ることができるようになっていく。これは、サピア＝ウォーフ仮説という「言語を習得するとその言語でしか得られない知覚を身につける」という仮説に従っており、主人公は宇宙人の言語を覚えることで、未来を見るようになる。

この宇宙人は様々な国にやってきていて、各国はやがて他国への情報開示をしなくなる。これはゼロサムゲームといって、合計する利得がゼロになるゲーム、つまり、勝者がいれば敗者が必ず出るゲームに自分たちが乗っているという認識に基づく。しかし、これを言語学者が非ゼロサムゲーム、つまり全員が協力することで全員が勝者になれるのだと、他国を説得して協力へ導こうとする。ゼロサムゲーム、つまり「勝者がいれば必ず敗者が出るゲーム」というのは直線的時間論から導かれやすい価値観である。主人公は円環的時間観を経ることで、非ゼロサムゲームへと地球を導く。

メッセージ (字幕版)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)