三宅隆太「スクリプトドクターの脚本教室・中級篇」を読んだ

初級編が「窓辺系」作者への本であったのに対し、中級編は「ソフトストーリー派」作者への本である。ソフトストーリー派というのは、全体のプロット描くことをせずに、身の回りのことに関する特定の面白いイメージやエピソードから出発して物語を書く人のことである。窓辺系とは異なり、ストーリーの進み方について読者が納得できるような書き方ができるが、短編の長さを超える中編・長編の映画を書くことができない。そのような作品を書くためには、いったん抽象的な視点を持って、ストーリーを構造的に捉え、プロットやサブプロットを考えていく必要がある。ところが、多くのソフトストーリー派の作者は自身の感覚からストーリーを起こすことを大事なものとして捉えるため、構造からストーリーを起こすことに違和感を持ってしまうそう。

カウンセラーの資格も持つ著者は、「しなければならない」と思ってやりはじめてもうまくいかず、「やりたい!」と思わないとうまくいかないという。したがって、ソフトストーリー派の人も「構造から書きたい!」と思わないと変わることができないという。

この本では、構造から物語を書くためのトレーニング方法や、指針が書かれており、それを読みながら繰り返し物語を書けば中編・長編もうまく書けるようになるかもしれないと思う。

大変実践的で楽しい本である。

スクリプトドクターの脚本教室・中級篇

スクリプトドクターの脚本教室・中級篇