悪の要素のない主人公は面白くない

昨日の日記にも書いた「「余命数ヶ月」みたいな話の小説原作の映画」では、誰も悪いやつがいなくて全然面白くなかった(名前を持たない登場人物たちは「悪いやつ」ということになっていたが)。

主人公とは、我々のことでもあるのだから、たとえその人が善をなす主人公だとしても悪を抱えていなければならないと思う。ただ、主人公の悪の持ち方は作品それぞれである。

 

悪の持ち方その1:主人公が悪そのもので周囲が善のようなのに、いつのまにか反転する物語。例えば「エルマー・ガントリー」。主人公は口が達者なだけのひどいやつで、下心ゆえに新興宗教の教祖に協力をしていく。彼の腕が良すぎてどんどん信者を得る。信者は神にすがる善き人々として描かれるが、ラストの火事のシーンでその信者たちは他人を押しのけて逃げて行き、主人公は他人を救いつつも、「なんじゃこりゃ」と呆れる。

 

悪の持ち方その2:主人公が自分の気持ちに素直すぎたり、自分の持つ哲学に忠実すぎるがゆえに悪。ゴーン・ガールの嫁さん。

ゴーン・ガール (字幕版)
 

 

悪の持ち方その3:主人公が善をなすために、逆説的に悪に手を染めざるをえず、悪人として問題解決を行う映画。最近取り上げた映画で、これがあるのですが、ネタバレ回避のため、題名は書きません。

 

悪の持ち方その4:主人公が善悪の区別がつかなかったが、のちにその区別を持つもの。「つぐない」の誰かさん(ネタバレ回避のためボカします)。

つぐない (字幕版)

つぐない (字幕版)

 

 

悪の持ち方その5:主人公が悪であることに開き直っているのに、ある時から改心するもの。

 

悪の持ち方その6:主人公が昔、悪であったことが後でわかってくるもの。オールド・ボーイの主人公。 

 

悪の持ち方その7:主人公が善ゆえの怒りが生じ、それがゆえに幾つか悪をなすもの。トガニの主人公が植木鉢を頭にぶつけるシーンなど。

 

悪の持ち方その8:主人公が善をなしていたのに、頭がおかしくなり、悪をなそうとするもの。殺人の追憶のラストらへん。

殺人の追憶(字幕版)

殺人の追憶(字幕版)

 

 

悪の持ち方その9:主人公が復讐するやつ。韓国映画多数(笑)。 

 

 

などなど、いろいろあるかと思います。主人公の悪が深ければ深いほど、物語も面白くなるかなと個人的には思います。