伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」を読んだ
初めて伊坂幸太郎さんの小説を読んだ。
とても読みやすく、本を読むのが遅い私でも苦にならず、次が気になって読めた。
小説は「現在」のある「男」の視点の話と、「2年前」のある「女」の視点の話が交互になって進む（そういえば「対岸の彼女」も似た構造ですね）。
ミステリーやサスペンス要素の物語ではあるのだが、人々の気持ちの揺れが丁寧で、いろんな登場人物に感情移入できてしまう。物語にブータン人の登場人物がいて、彼が極めて重要な役なのだが、言葉を理解する/理解できないという二つの領域の境界と、その境界を超えたところであらわになる感情の描き方が良かった。また、全般的に「他者」を包み込む優しさがこの物語に漂っていたのが良かった。
