2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

公正世界とダークナイト

「神は全能で公正な世界を作るので、善い行いをするひとにはよいことがおき、悪い行いを行う人には悪いことがおきる」という公正世界の考えを揺り動かす映画が「ダークナイト」である。 バットマンシリーズなのだが、ヒース・レジャー演ずるジョーカーがほぼ…

公正世界への期待

昨日の日記の続き 自身を守るためにずるい行いする人が世界には無数にいて、そういう人が変わることはなかなかなく、またそういう人が不利益を被ることもない、ということから来る絶望。この絶望は、私がまだ「世界は公正であるべき」という「期待」を持って…

「怒り」よりも厄介な「残念」という気分

昔、「もう、怒らない」という小池龍之介さんの本を読んで、怒ることがかなり減ったと思う。この本は怒りのもったいなさを語った上で、どう怒りに対処するかを書いている。 怒ってる側は自分が他人の間違いに対して正当な理由で怒っていると思いやすいものだ…

一度見えるとずっと見える

新しいカバンを買うと同じカバンを持っているひとに気づきやすい。そして、自分の買ったカバンがすごく流行っていて、街中で見かけることに気づく。ところが、そのカバンを持ってない人にそのことを言うと、「そうなの?初めて見たけど」と言われる。絶対見…

能力の個人差

ビートたけしが、「映画作ったり小説書いたり番組出たり大変でしょう」と聞かれて、「魚に泳いでてすごいねとか言わないでしょ。私にとって仕事はそんな感じ」と言っていた。 人によって発揮できる力の量、努力できる範囲には違いがあるので、みんながみんな…

力を抜きながら能力を発揮する練習

ダウンタウンは「ガキの使いやあらへんで」を始めた当初はちゃんと練ったネタをやっていたそうで、しかし、その後ネタ切れになって、即興を番組中にやるようになったそうである。 スポーツでも、体力が切れてからの勝負や練習を経験しまくることで、力を抜い…

モテ本

二村ヒトシの「すべてはモテるためである」は名著である。 この本によると、男がモテないのは「キモチワルイから」である。そしてどうやらほとんどの男は自分が「キモチワルイ」ことに気づいていない。じゃあ「キモチワルイ」とはどういうことかというと、自…

学習性無力感

非常に良い本を買った。デイヴィッド・マクレイニー「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」。人間が自然とやってしまいやすい48の誤謬のパターンを説明するもの。頭から読まなくても、気になったところをつまみ食い形式で読める。 思考のトラップ …

宗教的な映画における「奇跡」と「前後即因果の誤謬」

物語上で「奇跡」が起こる時に、それをそのまま奇跡ととっていいのか、あるいは前後即因果の誤謬と捉えるべきかいつも迷う。個人的にはなるべく後者で把握するようにしている。 例えば、「ことの終わり」という映画(原作であるグレアム・グリーン小説「情事…

物語の創作者は人間や世界をよりよく理解できていると言えるか?

私は将来物語を作りたいなぁと考えていて、その理由は、「物語を作る過程で、自分自身も人間として成長できるのではないか?」と考えているからである。物語を作る、ということは人間や社会、そして自分自身をよく理解し、それらに生ずる問題に対してどのよ…

公正世界の誤謬

「なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記」を読んだ。 なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫) 作者: H.S.クシュナー,Harold S. Kushner,斎藤武 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2008/03/14 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 92回 この商…

男性的物語と女性的物語

物語には男性的物語と女性的物語という分け方があるらしい。 これは主人公が男性であれば男性的物語で、女性であれば女性的物語というわけではない。 男性的物語というのは、困難に打ち勝って世界を救う物語で、女性的物語は自分の立ち位置や役割に違和感を…

とにかくかっこいい映画「ドライブ」

映画「ドライブ」を見た。 ドライヴ 発売日: 2015/02/16 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る ストーリー的には普通なのに、異常にかっこいい映画である。映画のスタントマンをやりつつ、自動車の修理をしつつ、逃し屋(強盗事件などで犯人を…

円環的時間と言語

円環的時間論の話の続き。 ffnn.hatenablog.com 映画「メッセージ」を見た。まさに円環的時間観に基づいた映画。以下、ちょいネタバレ。 宇宙人がやってきて、彼らの言語を地球の言語学者が理解していくと、なぜかその言語学者が未来を見ることができるよう…

人生は困難を克服してもいつもクソばっかだ

Blurのギタリスト、グレアム・コクソンのかっこいいが皮肉たっぷりの人生観。 Life is a series of hurdles with lots of dog shits on the other side of each — graham coxon (@grahamcoxon) 2013年7月1日 「人生は、ハードルをまたいだ着地点にいつも大量…

映画「ドリーム」を見た

映画「ドリーム」を見た。実話のストーリー。 www.foxmovies-jp.com 主人公たちは、NASAで働く黒人女性の計算技術士たち(現在のようなコンピュータが存在する前は、computerとは「計算する人」だったのである)。彼女たちは高い志を持ち、複雑な計算でロケ…

奴隷的価値観と前後即因果の誤謬

前後即因果の誤謬とは、「Aが起こった後にBが起こったから、Bが起こった原因はAである」とするものである。人間はこういう誤謬に陥りやすいので、変な迷信が生まれやすい。 例えば、雨が降らないので、雨が降るまで雨乞いをしたら雨が降った、となったら、雨…

奴隷的価値観と自由人的価値観

頑張って働いて会社で昇進していい給料をもらっている人がいたとして、それを自分の気持ちの赴くままやっているならば、彼は自由人と言えるかもしれない。しかし、そんな彼が「いい大人はちゃんと働かないと」とか「家族をちゃんと養わないと」とか「いい給…

物語と円環的時間観

以前、自由意志と決定論の話でニーチェの永劫回帰の話を書いた。 ffnn.hatenablog.com ニーチェの永劫回帰の思想とは、この世が円環的な時間の上にあり、すべては繰り返されるというものである。従って、そこに自由意志はなく、我々の行為はそうなるようにな…

「アクト・オブ・キリング」と悪

ドキュメンタリー映画「アクト・オブ・キリング」を見た。 これはアメリカ人のジョシュア・オッペンハイマー監督によるドキュメンタリー映画である。この映画は、インドネシアで起きた大虐殺の加害者を取材したドキュメンタリー映画である。この大虐殺は、ス…

社会に張り巡らされている権力

権力というと、誰それは権力を持っている、というふうに人や役職に付随するものとして我々は考えている。しかし、権力をそのように捉えるのではなく、社会におけるコミュニケーションのコードに網の目のように張り巡らされ、日常における行為や発話を通じて…

プロパガンダと物語のあいだ

ヘビーな映画だった。韓国の映画「トガニ 幼き瞳の告発」。 トガニ 幼き瞳の告発 (オリジナル・バージョン) [DVD] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2013/03/02 メディア: DVD この商品を含むブログ (5件) を見る 話自体はフィクションの設定であ…

ノーベル経済学賞と行動経済学

ノーベル文学賞に続いてノーベル経済学賞が発表されて、リチャード・セイラーが受賞されたのですね。たまたま1ヶ月前に彼のNudgeについてのブログ記事を書いてました。以前、行動経済学がノーベル経済学賞をとったという話を聞いていたので、てっきり彼がす…

町山智浩「映画塾」で学ぶ実存主義

映画の創作の裏側には理論もあるだろうが、情熱がそれ以上に大事だろう。 町山智浩さんの映画解説はアツい。中でも私が好きなのは、彼の「映画塾」の「暴力脱獄」の解説と「桐島部活やめるってよ」の解説だ。 どちらの映画でも、社会で生きる意味を見いだせ…

物語の構造

私は昔から、物語の構造に興味があって、関連文献を読んで、映画を見たり小説を読んだりしてきた。なぜ物語の構造に興味があるかというと、苦しんでいる時や、この人生に何の意味があるんだと思う時に、映画や小説が持つ物語の構造に自分の人生を当てはめる…

カズオ・イシグロと中島京子とメメント

カズオ・イシグロがノーベル文学賞をとったということで話題になっている。日本とイギリスの両方のルーツがあるということで、私も10年くらい前に興味を覚えて、デビュー作から6作目の「わたしを離さないで」まで全部読んでいたが、そのあとの「夜想曲集」…

ゴーン・ガールと結婚と演技

映画「ゴーン・ガール」を見た。うーん、今までに見たことがなかったような映画。 ゴーン・ガール (字幕版) 発売日: 2015/03/06 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る 物語で男女が描かれる時、「女は相手の欲望に合わせて演技をすることがで…

Japan Matsuri in London

9月末にトラファルガー広場に行ったらたまたま日本イベントが開かれていました。この広場は週末、ロンドン市長後援の元、いろんなイベントが開かれています。 たくさんの人が訪れて食事をとったり、催し物を見ていました。不思議な一体感があって楽しかった…

イギリスでの店員との会話

イギリスでお店に入った時に、Cureというバンドの「Friday I'm in love」という曲が流れてきた。この曲は私の大好きな曲で、歌詞が「月曜日は・・・火曜日は・・・水曜日は・・・木曜日は・・・、そして金曜日に君に恋する!」みたいな曲である。 レジで会計…

イギリスのハンバーガー屋さん - BYRON -

イギリスにはBYRONというハンバーガー屋さんがあります。カジュアルな店ではあるのですが、なかなか高級な雰囲気で値段もそこそこ。イギリスにはマクドナルド、FIVE GUYS、SHAKE SHACKなどがたくさんありますが、個人的にはBYRONが一番好きです。 大概のハン…