奴隷的価値観と前後即因果の誤謬

前後即因果の誤謬とは、「Aが起こった後にBが起こったから、Bが起こった原因はAである」とするものである。人間はこういう誤謬に陥りやすいので、変な迷信が生まれやすい。

例えば、雨が降らないので、雨が降るまで雨乞いをしたら雨が降った、となったら、雨乞いのおかげで雨が降ったと思うのである。

これが発展すると、「今までAをやってきてBがあったから、もしAをやめてしまったらBがなくなる、だからAを続けないといけない」となる。

 

世の中に無駄な仕事があるのは多くの場合、こういう理由に基づく。だからどんどん無駄な仕事が増えていく。同じことばかり続ける人は、やること(=無駄)が増えすぎてパンクする。

 

こういう考えの人は、新しくものごとを始めることもできない。新しく何かを始めるには古いものを捨てる必要があるからだ。50歳を過ぎて大学院に入って、その後大学の先生になった人は意外にいるものである。逆に安泰だと思った会社で同じような仕事をしていて、クビになって路頭に迷う人もいる。でも、そういうことも考えられず、会社を辞めることが危険だと思ったり、自分が今まで行ったことのない別の世界で成功するなんて無理と思っている人がたくさんいる。

こうなると、無駄な仕事だけが増えていく同じ場所にずっと居続けることしかできなくなるのである。

何歳になっても不可能なことはないので、今までやっていたことを少し捨てる勇気と新しいことを始める勇気が必要である。 

ハーバード流 キャリア・チェンジ術

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