他人の感情を知るということ

よく、「彼は人の気持ちがわからない」とか「彼女は人の気持ちによく気づく」とかいう。多くの場面で「他人の気持ちがわかる / わからない」の2分法で人を分けたがるのである。

ところが、小説を読むと「え!?こんな風にものを考えたり感じたりする人がいるの?」と思うことがある。しかし、それと同時に、自分の中にも他人へは表現しようのない感情があったり、考え方があることに気づいたりする。そう考えると、他人の感情や考え方というのは、表でわかるものは結構共通していても、その裏側にあるものは人によって相当違っていて、それらを理解するのは相当に相手と一緒にいる時間を共有する必要があるのである。

そう考えると、「他人の気持ちがわかる / わからない」の2分法で人々を見ている限り、その裏側のそう簡単に捉えられない、人によって違う感情を見ることをやめてしまうことになる。そうしてしまうと、人と本当に深いところで繋がるのは難しくなるだろう。